1〜2歳育児の悩み / 1〜6歳

子どもの叱り方に迷った日に、関係をこわさないためのノート

子どもの叱り方や伝わる言い方に迷う日に。怒鳴る前に、短く具体的に伝える言葉、行動と人格を分ける考え方、場面別の声かけ、叱った後の戻し方を整理します。

最初に答えを確認

子どもの叱り方に迷ったら、何を短く伝える?

人格を評価せず、止めたい行動と次にしてほしい行動を一文ずつ伝えます。危険を止める場面と、教える場面を分け、落ち着いた後に関係を戻す言葉も用意します。

この記事で扱うこと
叱ることを、危険の制止・家庭の境界・次の行動を教える場面に分けて考えます。
この記事だけで決めないこと
診断や親としての評価はしません。今すぐ安全を保てないときは、本文の緊急窓口を先に使ってください。
情報確認日

リビングの床に、りくのブロックが広がっていました。

つむぎは夕飯の鍋を見ながら、足元の赤いブロックを拾います。

「りく、片づけよう」

りくは、聞こえているのかいないのか、小さな車を走らせたままです。

もう一度言う。
少し強く言う。
それでも動かない。

つむぎの中で、「ちゃんとして」「何回言ったらわかるの」という言葉が喉の近くまで上がってきました。

叱らなきゃいけない気がする。でも、怒鳴りたいわけではない。怖がらせたいわけでもない。幼い子にどんな言い方で怒ればよいのか、どこまで言えば届くのかがわからない。

子どもの叱り方に迷う日は、まず「何をやめてほしいのか」「何をしてほしいのか」を短く分けます。子どもの人格を責めず、行動だけを具体的に伝えることが、親子関係をこわしにくい叱り方の土台になります。

叱る前に、伝えたいことを一つにする

子どもに注意したい場面では、親の頭の中にいくつもの言葉が並びます。

片づけてほしい。
急いでほしい。
ふざけないでほしい。
毎日同じことで困らせないでほしい。

でも、子どもには一度にたくさん届きません。特に幼い子どもは、「ちゃんとして」「いい加減にして」のような大きな言葉だけでは、何をすればよいのかがわかりにくいことがあります。

叱る前に、まず一つに絞ります。

親が困っていること 子どもに伝える一つの行動
おもちゃが散らかっている ブロックを箱に入れる
走ると危ない ここでは歩く
叩いてしまう 手を止める
食事中に遊ぶ スプーンを置く、口に入れる
出発前に動かない 靴を持つ

「どうしてできないの」と理由を聞きたくなる日もあります。でも、理由を問い詰める前に、次の行動を一つ伝える方が動きやすいことがあります。

こども家庭庁は、体罰等によらない子育てを進める情報を公開しています。叱る場面でも、体罰や威圧に頼らず、子どもが次に何をすればよいかを伝える形に近づけていきます。

子どもに届きやすい言葉の形

子どもに伝わりやすい叱り方は、長く説明することではありません。

短く、具体的に、次の行動が見える言葉にします。

言いたくなる言葉 置き換えたい言葉
ちゃんとして ブロックを箱に入れよう
何回言えばわかるの 今は走らないで、ここを歩こう
悪い子だね 叩くのは止めよう。手はここに置くよ
もう知らない 今は一回止めるね。あとで戻るよ
どうしてできないの どこからならできそう?靴を持つところからにしよう
早くして 帽子と靴、どっちからにする?

ポイントは、子ども自身を評価しないことです。

「悪い子」「だめな子」「いつもできない子」と言われると、子どもは行動ではなく自分そのものが否定されたように感じやすくなります。

伝えるのは、存在への評価ではなく、今やめてほしい行動と、次にしてほしい行動です。

叱る言葉は、短くする。

「何がだめ」だけで終えず、「次に何をする」を伝える。

子どもの人格ではなく、今の行動だけを見る。

子どもに伝わる言い方をさらに広く見直したい日も、まずはこのページの「短く、見える行動にする」形に戻すところから始めます。

年齢や場面で、叱り方を少し変える

同じ「叱る」でも、年齢や場面によって合う言葉は変わります。

1〜2歳ごろは、長い説明よりも、危ない行動を止めることと、短い言葉が中心になります。3〜6歳ごろになると、少しずつ理由や次の約束も伝えやすくなります。

場面 幼い子への言葉 少し大きい子への言葉
叩く 手を止めるよ。痛いよ 叩くのは止めよう。言葉で「いや」と言おう
走る 止まるよ。ここは歩くよ ここで走るとぶつかるから、玄関までは歩こう
投げる 投げない。ここに置く 投げると壊れるね。投げたいならボールにしよう
片づけない ブロックを箱へ 赤いブロックから箱に入れよう
食事中に遊ぶ スプーンを置くよ 食べる時間にする?終わりにする?

「わかっているはずなのにやらない」と見える日もあります。けれど、子どもは疲れていたり、遊びを切り替えられなかったり、何から始めればよいかわからなかったりします。

叱り方をやさしくすることは、何でも許すことではありません。境界線は置いたまま、子どもが次に動ける形へ言葉を小さくすることです。

よくある場面別の言い換え

叱り方は、場面ごとに準備しておくと少し使いやすくなります。

その場で完璧な言葉を考えようとすると、疲れている日は強い言い方になりやすいからです。

片づけ

「全部片づけて」ではなく、「車を箱に入れよう」「赤いブロックを三つだけ入れよう」と入口を小さくします。

食事

「遊ばないで」だけで終わらせず、「スプーンを置く」「一口食べる」「終わりにする」を選べる形にします。

外出前

「早くして」を減らし、「靴を持つ」「玄関に行く」「帽子を選ぶ」のように一つずつ伝えます。

危ない行動

危ないときは理由より先に止めます。「止まる」「手を離す」「ここから下りる」と短く伝え、安全を優先します。

友だちやきょうだい

どちらが悪いかをすぐ決めず、まず体を離します。「手を止める」「順番に話す」と行動を整理します。

寝る前

親の余裕が少ない時間です。「あと一冊」「歯みがきだけ」など、終わりを見える形にします。

イヤイヤ期の対応そのものに迷う日は、イヤイヤ期の対応で迷う日に、親子で消耗しないためのノート で、年齢に合った選択肢の出し方を確認できます。

叱った後に、関係を戻す

叱った後、子どもが泣いたり黙ったりすると、親は不安になります。

言いすぎたかな。
嫌われたかな。
傷つけてしまったかな。

叱った後にできることは、叱った内容を全部取り消すことではありません。必要な境界線は残しながら、親子関係を戻す言葉を足します。

叱った後の状態 戻す言葉
声が強くなった さっきは声が大きかったね。ごめんね
子どもが泣いた 怖かったね。落ち着いたら話そう
注意は必要だった 叩くのは止めるよ。でも、あなたが嫌いなわけじゃないよ
親も疲れている ママも少し休んでから戻るね
次の約束をしたい 次は、手を出す前に「いや」と言おう

強く言いすぎた後の謝り方を詳しく確認したい日は、子どもを怒鳴ってしまう日に、親子を守るための立て直しノート が役に立ちます。イライラが一日中続く日は、子育てでイライラが止まらない日に読むノート に進めます。

叱る場面が怖くなったとき

叱り方を工夫しても、家庭だけで抱えない方がよい日があります。

特に、手が出そう、怒鳴ることが止まらない、子どもが強く怖がっている、親自身が眠れないほど追い詰められている。そうした状態が続くときは、言葉の工夫だけでは足りないことがあります。

外の助けを入れたいサイン
  • 叩く、強く引っぱる、閉じ込めるなどになりそうで怖い
  • 怒鳴ることが止まらず、あとから強く自分を責めている
  • 子どもが親を怖がり、近づかない状態が続いている
  • 叱った後に、親自身が消えたいほどつらくなる
  • 家族に相談すると、さらに怒鳴られる、責められる、危険が増える

緊急の危険があるときは、110番や119番など地域の緊急窓口につなぎます。「このままだと傷つけるかもしれない」と感じる場合は、児童相談所虐待対応ダイヤル189も選択肢です。

親子関係や子育ての悩みを言葉にしたいときは、こども家庭庁の「親子のための相談LINE」など、外の相談先につなぐこともできます。相談することは、叱り方に失敗した証明ではありません。親子を守るための準備です。

朝比奈家メモ:叱る言葉を、小さくする

つむぎは、りくの前にしゃがみました。

床には、赤と青のブロック。小さな車。ぬいぐるみ。

「片づけて」と言いかけて、少し止まります。

全部を一度に言うと、また声が強くなる気がしました。

つむぎは、赤いブロックを一つ手に取ります。

「りく、赤いブロックを箱に入れよう」

りくは少し考えてから、同じ赤いブロックをもう一つ拾いました。

つむぎは、「全部やって」と言いたくなるのを飲み込みます。

「入れられたね。次は車を一つだけ」

叱ることは、親子の勝ち負けにしなくていい。

伝える言葉を小さくすれば、子どもが次に動ける場所が見えてきます。

叱る前に、伝えたい行動を一つにする。

「悪い子」ではなく、「その行動は困る」と分ける。

言いすぎた後は、短く戻る言葉を足す。

短い言葉で伝え直すと、りくは顔を上げました。分かり合う入口を残せたことに、つむぎの胸も少しあたたかくなりました。

次に読みたい記事

子どもの叱り方に迷う日は、親としての正しさを証明する日ではありません。子どもに届く大きさまで、言葉を小さくする日です。短く、具体的に、行動だけを伝える。その積み重ねで、叱る時間を親子関係をこわす時間ではなく、戻れる時間に変えていきましょう。