1〜2歳育児の悩み / 1〜6歳

子どもの自己肯定感を支える、毎日の声かけノート

子どもの自己肯定感や自信を支えたい日に。特別な褒め方よりも、日常の声かけ、行動を具体的に見る言葉、失敗した後の戻り方、声かけだけで抱えない方がよいときを整理します。

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子どもの自己肯定感を支えるには、何を言えばいい?

大きく褒め続けるより、見ていた行動や工夫を具体的に言葉にします。失敗した日も関係が切れないことを伝え、親自身が完璧な声かけを求めすぎないことも大切です。

この記事で扱うこと
自己肯定感を点数の高い自信ではなく、自分の存在や試行錯誤を受け止められる感覚として扱います。
この記事だけで決めないこと
発達や学校生活の困りごとは声かけだけで解決しようとせず、園・学校・専門職と一緒に考えます。
情報確認日

寝る前、りくは同じ絵本をもう一度読んでほしがりました。

つむぎは時計を見ます。

歯みがきも終わった。明日の準備もまだ少し残っている。早く寝かせたい気持ちが、胸の奥で小さく急ぎます。

「もう寝る時間だよ」

そう言ったあと、りくが少しだけ口をとがらせました。

つむぎは、ふと思います。

私は今日、りくのことをどんな言葉で見ていただろう。
できないところばかり言っていなかったかな。
この子の自信を、知らないうちに削っていないかな。

子どもの自己肯定感は、特別な褒め言葉だけで支えるものではありません。毎日の中で「見ていたよ」「助かったよ」「失敗しても戻れるよ」と伝わる関わりを増やすことが、子どもが自分を受け止める土台になります。

まず、子どもの自信を急いで作ろうとしない

子どもに自信を持ってほしいと思うほど、親はつい言葉を探します。

すごいね。
えらいね。
できるよ。
大丈夫だよ。

どれも、子どもを励ましたい気持ちから出る言葉です。ただ、子どもが失敗しているときや不安そうなときに、すぐ「大丈夫」と言われると、気持ちを置き去りにされたように感じることもあります。

まず大切なのは、子どもを前向きにさせることより、今の子どもの状態を受け止めることです。

子どもの姿 先に受け止める言葉 その後に足せる言葉
できなくて泣く くやしかったね どこまで一緒にやってみる?
失敗して怒る 思った通りにならなかったね もう一回にする?休む?
やりたがらない 今はやりたくないんだね 小さくするなら、どこからできそう?
褒めても黙る 聞いていたんだね ママは、ここを見ていたよ
叱られて落ち込む びっくりしたね 困ったのは行動で、あなたが嫌いなわけじゃないよ

国立教育政策研究所の生徒指導リーフでは、子どもの自信を大人が一方的に持たせる発想よりも、認められて育つ視点の大切さが示されています。家庭でも、「すごい」と評価する前に、「見ていたよ」「助かったよ」と関係の中で伝えることができます。

毎日の中で使いやすい声かけ

自己肯定感を支える言葉は、大きな成功のときだけ必要なものではありません。

むしろ、生活の小さな場面にあります。

着替えようとした。
こぼしたあとに拭こうとした。
嫌だったけれど戻ってきた。
泣きながらでも、抱っこしてほしいと言えた。

そういう小さな動きを、具体的に言葉にします。

言いやすい褒め言葉 具体的に見る言葉
すごいね 最後まで聞いていたね
えらいね 自分で靴を持ってきたね
上手だね 赤いブロックを箱に入れたね
いい子だね 待つのは嫌だったけど、戻ってきたね
がんばったね 泣いたあとに、もう一回やってみたね
優しいね ぬいぐるみに毛布をかけていたね

ポイントは、子どもの性格を決めつけすぎないことです。

「いい子」「すごい子」と言われ続けると、子どもによっては、できない日や怒った日を見せにくくなることがあります。だから、存在をまるごと評価するより、その場で見えた行動を言葉にします。

結果より、途中の動きを見る。

性格を決めつけず、行動を具体的に言う。

できた日だけでなく、戻れた日も言葉にする。

子どもに伝わる言葉そのものを整理したい日は、子どもに伝わる言い方を探す日の声かけノート で、抽象的な注意を具体的な行動に直せます。叱る場面も同じページの「境界線を先に決める」節が使えます。

褒めるより先に、受け止める場面

いつも褒めていれば安心、というわけではありません。

子どもが不安なとき、怒っているとき、うまくできなかったときは、褒め言葉より先に「そう感じたんだね」が必要なことがあります。

失敗したとき

「大丈夫」だけで急いで終わらせず、「こぼれたね。びっくりしたね」と事実と気持ちを分けます。

怒っているとき

「怒らないで」より先に、「嫌だったね」と受け止めます。叩く、投げるなどの行動は止めたまま、気持ちは否定しません。

泣いているとき

「泣かないの」ではなく、「泣くほど嫌だったんだね」と言葉にします。落ち着く前に説明を増やしすぎません。

やりたがらないとき

「できるでしょ」と押す前に、「今は難しいんだね」と見ます。小さな入口にして、始める量を減らします。

叱ったあと

必要な注意は残しながら、「あなたが嫌いなわけじゃないよ」と関係を戻します。行動と存在を分けます。

甘えたいとき

「赤ちゃんみたい」とからかわず、「抱っこしてほしいんだね」と受け止めます。自立を急がせすぎません。

受け止めることは、何でも許すことではありません。

気持ちは受け止める。危ない行動は止める。次にどうするかを小さく伝える。この三つを分けると、親も子どもも少し戻りやすくなります。

叱る場面でも、存在を否定しない

自己肯定感が気になると、叱ること自体が怖くなる日があります。

でも、危ないことや困ることを伝えないままにする必要はありません。大切なのは、子どもの存在ではなく、今の行動に言葉を向けることです。

避けたい言い方 子どもに残りやすい受け取り方 戻したい言葉
悪い子だね 自分は悪い子なんだ その行動は困るよ
何でできないの 自分はできない子なんだ 今はどこで止まっているかな
もう知らない 見捨てられるかもしれない 今は一回止めるね。あとで戻るよ
そんな子は嫌い 自分が嫌われた 叩くのは止めるよ。あなたが嫌いなわけじゃないよ
泣くなら勝手にして 気持ちを出すと離れられる 泣いてもいいよ。落ち着いたら話そう

こども家庭庁は、体罰等によらない子育ての情報を公開しています。家庭の中でも、力や怖さで従わせるのではなく、子どもが次にどうすればよいかを伝える形に近づけていきます。

強く言いすぎた日は、関係を戻す言葉を足します。

さっきは声が大きかったね。ごめんね。

困ったのは、投げたことだよ。あなたが嫌いなわけじゃないよ。

次は、投げる前に「いや」と言おう。

怒鳴ってしまった後の戻り方を詳しく見たい日は、子どもを怒鳴ってしまう日に、親子を守るための立て直しノート が役に立ちます。親のイライラが続いていて言葉が強くなりやすい日は、子育てでイライラが止まらない日に、親子を守るためのノート に進めます。

自己肯定感を支える、小さな習慣

子どもの自信は、一回の大きな言葉より、何度も戻ってくる関わりで支えられます。

忙しい日でもできるように、習慣は小さくします。

習慣 かける言葉 伝わりやすいこと
寝る前に一つだけ振り返る 今日、りくが自分で靴を持ったの見ていたよ 親が見ている
手伝ってくれたら言葉にする タオルを持ってきてくれて助かったよ 役に立てた
失敗した後に戻る こぼれたね。一緒に拭こう 失敗しても戻れる
気持ちを名前にする 悔しかったね。嫌だったね 気持ちを出していい
比較を減らす 昨日のりくより、今日はここまでできたね 自分の中で進める
選べる場面を作る 青いパジャマと黄色いパジャマ、どっちにする? 自分で決められる

全部を毎日やる必要はありません。

ひとつだけで大丈夫です。寝る前に一文、食事のあとに一文、片づけの途中に一文。子どもが「自分は見てもらえている」と感じられる場面を、小さく増やします。

こども家庭庁は、こども・若者の居場所づくりについて、子どもや若者の声を聴き、視点に立って進めることの大切さを示しています。家庭も、子どもにとって最初の居場所のひとつです。安心して気持ちを出せる関係を、日々の小さな言葉で作っていきます。

相談した方がよいサイン

自己肯定感のことを考えるとき、親が自分を責めすぎることがあります。

私の声かけが悪かったのかな。
叱ったせいかな。
もっと早く気づけばよかったのかな。

でも、家庭だけで抱えない方がよい状態もあります。子どもの不安や親の怒りが強く続くときは、言葉の工夫だけで解決しようとしないでください。

外の助けを入れたいサイン
  • 子どもが強く怖がり、親に近づかない状態が続いている
  • 失敗を極端に怖がり、眠れない、食べられない、登園や登校を嫌がる状態が続いている
  • 親が子どもを責める言葉を止められず、後から強く自分を責めている
  • 叩く、強く引っぱる、閉じ込めるなどになりそうで怖い
  • 親自身が眠れない、消えたいほどつらい、誰にも頼れないと感じている

緊急の危険があるときは、110番や119番など地域の緊急窓口につなぎます。親子関係や子育ての悩みを言葉にしたいときは、自治体の子育て相談や、こども家庭庁の「親子のための相談LINE」なども選択肢です。

相談することは、子どもの自己肯定感を育てられなかった証明ではありません。親子を守るために、支える人を増やす行動です。

朝比奈家メモ:見ていたことを、一つだけ言う

絵本を閉じたあと、つむぎはりくの布団を直しました。

「もう一回」と言っていたりくは、まだ少し不満そうです。

つむぎは、「早く寝て」と言いかけて、今日のことを思い出します。

夕方、りくは自分で靴を持ってきました。途中で左右を間違えたけれど、玄関まで運びました。

「りく、今日、自分で靴を持ってきたね」

りくが、少しだけ目を上げます。

「ママ、見てたよ」

それだけ言って、つむぎは絵本を棚に戻しました。

特別な褒め言葉ではありません。大きな約束でもありません。

でも、りくの一日が、できなかったことだけで終わらないように。

見ていたことを、一つだけ言葉にする。

明日も、そこから始めればいい。

すぐに励ます前に、子どもの気持ちを受け止める。

「すごい子」ではなく、見えた行動を具体的に言う。

叱ったあとも、存在ではなく行動に言葉を向ける。

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子どもの自己肯定感を支える日は、完璧な褒め方を探す日ではありません。子どもが失敗しても、怒っても、泣いても、戻れる関係を少しずつ作る日です。見ていたことを一つ言う。助かったことを一つ伝える。言いすぎたら戻る。その積み重ねで、子どもの中に「自分はここにいていい」という感覚が育っていきます。